Apache HTTP サーバ バージョン 2.4
この文書は Apache がリクエストの URL から送信するファイルの ファイルシステム上の位置を決定する方法を説明します。
関連モジュール | 関連ディレクティブ |
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リクエストに対してどのファイルを送信するかを決定するときの
Apache のデフォルトの動作は、リクエストの URL-Path (URL のホスト名と
ポート番号の後に続く部分) を取り出して設定ファイルで指定されている
DocumentRoot
の最後に追加する、というものです。ですから、
DocumentRoot
の下のディレクトリやファイルがウェブから見える基本のドキュメントの木構造を
なします。
Apache にはサーバが複数のホストへのリクエストを受け取る
バーチャルホスト の機能もあります。
この場合、それぞれのバーチャルホストに対して違う
DocumentRoot
を指定することができます。また、mod_vhost_alias
モジュールにより提供されるディレクティブを使って、
送信するためのコンテンツの場所をリクエストされた IP
アドレスやホスト名から動的に決めることもできます。
ファイルシステム上の、
厳密には DocumentRoot
の下にはない部分へのウェブアクセスを許可する必要がある
場合がよくあります。Apache はこのために複数の方法を用意しています。
Unix システムでは、ファイルシステムの他の部分をシンボリックリンクを
使って DocumentRoot
の下に持ってくることができます。セキュリティ上の理由により、
Apache は該当するディレクトリの
Options
の設定に
FollowSymLinks
か SymLinksIfOwnerMatch
が
ある場合にのみシンボリックリンクをたどります。
代わりの方法として、Alias
ディレクティブを使ってファイルシステムの任意の部分をウェブの空間に
マップできます。たとえば、
Alias /docs /var/web
という設定のときは、URL
https://www.example.com/docs/dir/file.html
には
/var/web/dir/file.html
が送信されます。
ScriptAlias
も、
対象となっているパスが CGI スクリプトとして扱われるという追加の
効果以外は同じように動作します。
もっと柔軟な設定が必要な状況では、
AliasMatch
ディレクティブや
ScriptAliasMatch
ディレクティブ
を使って強力な正規表現に基づいたマッチと置換を行なうことができます。
たとえば、
ScriptAliasMatch ^/~([a-zA-Z0-9]+)/cgi-bin/(.+)
/home/$1/cgi-bin/$2
は https://example.com/~user/cgi-bin/script.cgi
への
リクエストを /home/user/cgi-bin/script.cgi
というパスへ
マップし、このマップの結果としてのファイルを CGI スクリプトとして
扱います。
伝統的に Unix システムではユーザ user のホームディレクトリを
~user/
として参照できます。mod_userdir
モジュールはこの概念をウェブに拡張して、
それぞれのユーザのホームディレクトリのファイルを
以下のような URL を使ってアクセスできるようにします。
https://www.example.com/~user/file.html
セキュリティの観点から、ウェブからユーザのホームディレクトリへ
直接アクセスできるようにすることは適切ではありません。ですから、
UserDir
ディレクティブには
ユーザのホームディレクトリの下の、ウェブファイルの
置かれているディレクトリを指定します。デフォルトの設定の
Userdir public_html
を使うと、上の URL は
/home/user/public_html/file.html
というようなファイルに
マップされます。ここで、/home/user/
は
/etc/passwd
で指定されているユーザのホームディレクトリです。
Userdir
には、
/etc/passwd
にホームディレクトリの位置が書かれていない
システムでも使うことのできる他の形式もあります。
中にはシンボル "~" (%7e
のように符号化されることが多い)
を格好が悪いと思って、ユーザのディレクトリを表すために別の文字列の
使用を好む人がいます。mod_userdir はこの機能をサポートしていません。
しかし、ユーザのホームディレクトリが規則的な構成のときは、
AliasMatch
を使って望みの
効果を達成することができます。たとえば、
https://www.example.com/upages/user/file.html
が
/home/user/public_html/file.html
にマップされるようにするには、
以下のように AliasMatch
ディレクティブを使います:
AliasMatch ^/upages/([a-zA-Z0-9]+)/?(.*)
/home/$1/public_html/$2
上の節で説明した設定用のディレクティブは Apache に
ファイルシステムの特定の場所からコンテンツを取ってきて
クライアントに送り返すようにします。ときには、その代わりに
クライアントにリクエストされたコンテンツは別の URL にあることを
知らせて、クライアントが新しい URL へ新しいリクエストを行なうように
する方が望ましいことがあります。これはリダイレクションと
呼ばれていて、Redirect
ディレクティブにより実装されています。たとえば、
DocumentRoot
の下のディレクトリ
/foo/
が新しいディレクトリ /bar/
に移動したときは、
以下のようにしてクライアントが新しい場所のコンテンツをリクエストするように
指示することができます:
Redirect permanent /foo/
https://www.example.com/bar/
これは、/foo/
で始まるすべての URL-Path を、
www.example.com
サーバの /bar/
が
/foo/
に置換されたものにリダイレクトします。
サーバは自分自身のサーバだけでなく、どのサーバにでもクライアントを
リダイレクトすることができます。
Apache はより複雑な書き換えの問題のために、
RedirectMatch
ディレクティブを
提供しています。たとえば、サイトのホームページを違うサイトにリダイレクト
するけれど、他のリクエストはそのまま扱う、というときは以下の設定を
使います:
RedirectMatch permanent ^/$
https://www.example.com/startpage.html
あるいは、一時的にサイトのすべてのページを他のサイトの特定の ページへリダイレクトするときは、以下を使います:
RedirectMatch temp .*
https://othersite.example.com/startpage.html
Apache は遠隔地にあるドキュメントをローカルのサーバの URL 空間に 持ってくることもできます。この手法はリバースプロキシと呼ばれています。 ウェブサーバが遠隔地のドキュメントを取得してクライアントに送り返すのが プロキシサーバの動作のように見えるからです。クライアントにはドキュメントが リバースプロキシサーバから送られてきているように見える点が通常の プロキシとは異なります。
次の例では、クライアントが /foo/
ディレクトリの下にある
ドキュメントをリクエストすると、サーバが internal.example.com
の
/bar/
ディレクトリから取得して、さもローカルサーバからの
ドキュメントのようにしてクライアントに返します。
ProxyPass /foo/ https://internal.example.com/bar/
ProxyPassReverse /foo/ https://internal.example.com/bar/
ProxyPassReverseCookieDomain internal.example.com public.example.com
ProxyPassReverseCookiePath /foo/ /bar/
ProxyPass
ディレクティブは
サーバが適切なドキュメントを取得するように設定し、
ProxyPassReverse
ディレクティブは
internal.example.com
からのリダイレクトがローカルサーバの
適切なディレクトリを指すように書き換えます。
同様に ProxyPassReverseCookieDomain
と ProxyPassReverseCookiePath
でバックエンド側サーバの発行した Cookie を書き換えることができます。
ただし、ドキュメントの中のリンクは書き換えられない、
ということは知っておいてください。
ですから、internal.example.com
への絶対パスによるリンクでは、
クライアントがプロキシサーバを抜け出して internal.example.com
に
直接リクエストを送る、ということになります。
サードパーティ製モジュールの mod_proxy_html
は、HTML と XHTML 中のリンクを書き換えることができます。
より一層強力な置換が必要なときは、mod_rewrite
が提供するリライトエンジンが役に立つでしょう。
このモジュールにより提供されるディレクティブは
ブラウザの種類、リクエスト元の IP アドレスなどのリクエストの特徴を
使って送り返すコンテンツの場所を決めます。さらに、mod_rewrite
は外部のデータベースファイルやプログラムを使ってリクエストの扱い方を
決めることもできます。リライトエンジンは上で挙げられている三つのマッピング
すべてを行なうことができます: 内部のリダイレクト (エイリアス)、
外部のリダイレクト、プロキシです。mod_rewrite を使う多くの実用的な例は
URL リライトガイド
で説明されています。
必ず、リクエストされた URL に対応するファイルがファイルシステムに 無いという場合が発生します。これが起こるのにはいくつかの理由があります。 場合によっては、ドキュメントを別の場所に移動した結果であることがあります。 この場合は、クライアントにリソースの新しい位置を知らせるために URL リダイレクションを使うのが最善の方法です。 そうすることによって、リソースは新しい位置に移動しているけれども、 古いブックマークやリンクが動作し続けるようにすることができます。
"File Not Found" エラーのもう一つのよくある理由は、
ブラウザへの直接入力や HTML リンクからの偶発的な URL の入力間違いです。
Apache はこの問題を改善するために、mod_speling
モジュール (意図的な綴り間違い)
(訳注: 正しくは spelling) を提供しています。このモジュールが
使用されているときは、"File Not Found" エラーを横取りして、
似たファイル名のリソースを探します。もし一つだけ見つかった場合は
mod_speling はクライアントに正しい位置を知らせるために HTTP リダイレクトを
送ります。もし複数の「近い」ファイルが見つかった場合は、それら
代替となりえるもののリストがクライアントに表示されます。
mod_speling の非常に有用な機能は、大文字小文字を区別せずに ファイル名を比較するものです。これは URL と unix の ファイルシステムが両方とも大文字小文字を区別するものである、 ということをユーザが知らないシステムで役に立ちます。ただし、 時折の URL 訂正程度で済まず、mod_speling をより多く使用すると、サーバに さらなる負荷がかかります。すべての「正しくない」リクエストの後に URL のリダイレクトとクライアントからの新しいリクエストがくることに なりますから。
コンテンツの位置を決めようとするすべての試みが失敗すると、
Apache は、HTTP ステータスコード 404 (file not found) と共に
エラーページを返します。このエラーページの外観は
ErrorDocument
ディレクティブで制御され、
カスタムエラーレスポンス で
説明されているように、柔軟な設定を行なうことができます。